著者の土井さんは、子どもたちの里親としてホームを運営しています。
ホームで暮らす子どもたちは親から虐待を受け、長期の引きこもりや激しい非行を繰り返してきた過去があり、その多くが発達障害を抱えています。
そんな土井さんが、すべての子育てに通じる軸について書かれた本です。
子どもにとって大切なのは、「安心できる親子の関係」と「安全な環境」
言い換えると、
- 子どもに確かに応答すること
- 子どもが安心できる環境、安心だと信じられる環境を保障すること
具体的には、
- 寒さや暑さに震えることのない住居がある
- いつもごはんを用意してくれる
- 夜、安心して眠れる場所がある
- いいことをすれば両親がほめてくれる
- 悪いことをすれば叱られる
心配事が多いときほど、いちばん基本となる「寝食」を大事に。
ひとつの家で安心して眠らせ、おいしい食事を用意するだけで、子どもたちの心は安定する。
それを実現するには、現在の核家族化の時代には、親の知識やスキルも必要。
子育てで大切なのは、子ども自身の強さを育てること
強さというのは、ストレスへの抵抗力、逆境に負けない強靭な力、折れない心、受けてしまったストレスからの回復力。
そのためには「自分は価値ある存在だ」と思うことが大事。
そのために必要なのが「環境」と「親子の応答」。
自分で自分を守れる子どもに育て、親は「困ったらいつでも帰っておいで」と心を離さずにいる。
親の対応・姿勢
子どもは親を見ている
親が「感情的にならないようにしよう」と自分を制御し、淡々と子どもに言い聞かせ、親自身も不完全でも努力をしているのが良い状態。
親は硬質のゴム
常に変わらない姿勢で応答を繰り返す。しっかりと受け止めてきちんと返す。
石だと硬すぎてまったく受けつけない。柔らかすぎると応答できない。
親は安心して迷惑をかけられる相手
親の仕事は子どもに「安心して迷惑をかけていいよ」と伝えること
壊れたレコード
子どもに何かを言い聞かせたいときには「壊れたレコード」で待つ。
淡々と言い続け、時熟を待つ。
ごほうびはあげてもよい?
ほめることが前提となっていれば、わかりやすいご褒美も問題ない
悩みがありそうなとき
あまり無理に聞き出そうとせず、好きな食事を用意して、「なにかあったら相談してね」「いつも味方だから」ということを時々伝えてあげるのがいい
叱り方
叱るのは3分以内。ほめて終わる。
「姿勢がよかったね」「最後まで話を聞けたね」
子どもの行為への対応
- してほしい行動だった場合は、すかさずほめる
- してほしくない行動については無視する
- 他人や自分を傷つける許しがたい行動は制止する
2が難しい。子どもが親の関心をひきたくて大騒ぎをしたりわがままを言い続けている場合は知らん顔をして無視してもよい。
子どもを落ち着かせるスキル
子どもがパニックのように大騒ぎをしているときには、叱ったり放置するのではなく、「落ち着いたら話をしよう」と親も落ち着いて待つ。
「大丈夫だよ」と小さい声で静かに話しかけ、手のひらで背中をトントンと叩いてあげる。
タッピングタッチ
- 子どもの後ろに座る
- 子どもの背中の肩甲骨の内側のあたりに両手をそっとあてる
- 自分の指先の腹を使って、右、左と交互に軽くソフトにたたく
- タッチは1秒か2秒に1回のペースで、2分くらい続ける
まとめ
こう書いてみると、幸いにも私自身は「安心」ということを意識することさえなく、それを当たり前のこととしてこのように育ててもらったと感じる。
核家族で、親が子育ての勉強をことさらしたとか、もともと人格者であるとかといわけではなかったのに。
自分の環境に感謝しながら、本などで得た知識も取り入れていきたい。